## 遊びの中で見えた、小さな変化
金曜日の晩、公園でボールを蹴って遊んでいた。練習でもなく、ただの遊びの延長だった。
そんな中で、ある子がボールを追いかける動きが、いつもと少し違っていた。足の運びに迷いがなくなっていて、顔が上がっている。前は下を向いてボールばかり見ていたのが、今はちらちらと周りを確認しながら進んでいる。
「あれ、スクール行ってから変わったな」
そう思った瞬間、遊びの延長で始まったミニゲームでも、同じことが起きていた。ボールを持っていないときの動きにも変化が出ていたのだ。誰かがボールを持っている間、ただ突っ立っているのではなく、スペースに動いて次のパスをもらおうとしている。いわゆるオフザボールの質が、明らかに上がっていた。
## 事実としてあったこと
整理すると、この子に起きていたのはこんな変化だったと思う。
### ドリブルの自信
– ボールタッチの回数を意識しなくても、自然に細かくなっていた
– 顔を上げたままドリブルできる時間が長くなっていた
– 相手が来ても慌てて蹴り出さず、一度溜める動きが出てきた
### オフザボールの質
– ボールがないときも足が止まらなくなっていた
– パスを受ける前に、受けやすい角度に体を作っていた
– 味方の視野を意識しているような動きが増えていた
どちらも、誰かに「こうしなさい」と言われて身につくものではない気がする。本人の中で、いくつかの練習や経験がふっとつながった結果、こういう形で出てきたのだと思う。
## 気づき:情報がつながる瞬間に立ち会えた
コーチをしていて一番おもしろいのは、こういう「つながる瞬間」に居合わせることだと思う。
スクールで教わったこと、チームでの練習、試合での失敗や成功。ひとつひとつは別々の経験のはずなのに、ある日突然、それらが本人の中でひとつの動きとして統合される。今回のドリブルとオフザボールの変化も、たぶんそういう瞬間だったのだと思う。
ただ、これがずっと続くわけではないというのも、同時に感じたことだった。次の週には、また下を向いてドリブルする姿に戻っていたりする。調子の良い日と悪い日が、わりと大きな振れ幅で入れ替わる。
## 考察:大人の役割は「積み重ねる環境」をつくること
この浮き沈みを見ていると、大人がやるべきことは案外シンプルなんじゃないかと思うようになった。
一回の練習で完成させようとしない。良い動きが出た日にほめすぎない。悪い日があっても、それを本人の実力の本質だと決めつけない。そのかわり、同じような機会を繰り返し用意しておく。ドリブルする場面、オフザボールで動く場面を、毎回の練習にちょっとずつ仕込んでおく。
そうしていると、いつかまた別の「つながる瞬間」がやってくる。今回よりも少し高いところで。
これは子どものサッカーだけの話でもない気がしていて、資産形成にも近いところがあると思う。毎月の積み立てや数字の管理は、単体で見ればそれほどドラマチックなことは起きない。でも、それを続けている環境そのものが、あるとき急に効いてくる瞬間を作っているのかもしれない。
金曜の夜、公園で見た小さな変化は、たぶんそういうことを僕に教えてくれていたんだと思う。


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