今日の練習の終盤、いつもの紅白戦をやっていて、ちょっと嬉しい場面があった。
一人の子がボールを持って仕掛ける。相手が寄せてくると、周りの子がちゃんと動いて、パスの出しどころを作る。それでも崩せなかったら、無理に突っ込まずに一回下げて、また作り直す。ゴールキーパー役の子からでも、後ろの子からでも、誰からでも攻撃が始められる。そういう場面が、この数ヶ月で少しずつ増えてきた。
以前は、ボールを持てる特定の子が持って、あとの子は正直ただ見ている、みたいな時間が多かった。攻撃の形も、その子が抜けなければそこで終わり、というワンパターンなものだった。それが今は、全員が「自分もボールに関わるものだ」という前提で動いている。うまくいかなければ一度戻ってやり直せばいい、というのも含めて、チームとしてようやく機能し始めた気がする。
コーチを始めた頃は、正直ここまで来るとは思っていなかった。声をかけても反応がバラバラで、練習メニューひとつ通すだけで精一杯だった時期もある。それを思うと、今の紅白戦の景色は、地味だけど確かな積み重ねの結果なんだと思う。
## 「攻撃のスタート地点」が一部の子だけのものじゃなくなってきた
小学2年生を教えていて一番難しいのは、技術以前に「自分から仕掛けていい」という感覚を持たせることだと思う。うまい子は自然とボールを引き受けにいくけど、そうじゃない子は、パスが来ても一度誰かに預けてしまう。責任を持ちたくない、というより、単純にそこで何をすればいいかわからないんだと思う。
それが最近は、後ろの子も含めて、まず自分で持ってみる、という選択肢を持てるようになってきた。ミスを恐れて足元でボールを止めてしまう場面も減ってきた。全員が起点になれる状態というのは、多分うまさの話というより、チームとしての土台の話なんだと思う。ここができてきたのは、素直に良い変化だと感じている。
## 足りないのは、うまい子特有の「激しさ」
一方で、まだ足りないなと感じる部分もはっきりしている。球際でのぶつかり合いの激しさというか、体を当ててでも取りにいく強さだ。
他のチームと練習試合をすると、うまい子を見ていて思うのは、技術云々より先に、まずボールを取りにいく姿勢が違うということだ。競り合いを避けない。多少ぶつかっても怯まない。倒れても、また立ち上がってもう一度追いかける。うちの子たちは、判断や動き出しは良くなってきているのに、いざ球際で相手と体がぶつかりそうになると、一瞬引いてしまう場面がまだ多い。悪気があるわけじゃなくて、単純に「そこで戦う」という経験値が、まだ足りないんだと思う。
## 理想は、球際の速さとうまさと駆け引きが噛み合うこと
このあと目指したいのは、球際での身体の攻防に、速さとうまさと駆け引きが同時に生まれてくることだ。相手より半歩速く寄せる。体をぶつけながらもボールを扱える。さらに、相手の重心や利き足を見て、あえて一瞬待ってから仕掛けるような駆け引きができる。
この3つは多分、順番に身につくものじゃなくて、練習を重ねる中で少しずつ絡み合いながら育っていくものなんだと思う。今のチームは、攻撃の形という土台ができた分、次はこの部分に時間をかける番なんだろうなと感じている。
急いで仕上げるものでもない気がしている。全員が仕掛けられるようになるまでにも、思えばそれなりに時間がかかった。球際の強さも、焦らず積み重ねていけばいいと思う。次の練習で、誰か一人でも「引かずに競り合えた」場面が出てきたら、それだけで今日より一歩前進なんだと思う。
派手なゴールシーンよりも、そういう地味な一場面のほうが、僕にとってはよっぽど見応えがある。今日はまだ見られなかったけど、そう遠くない練習で、その瞬間に出会える気がしている。


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