昨夜、仕事終わりに公園でボールを蹴っていて、長男の様子が気になった。
ボールを持つと、まず下を見る。パスを受けるときも下を見る。以前の長男は、もっと周りを見ながらプレーしていたと思う。相手がどこにいるか、味方がどこにいるか、顔を上げて確認しながら次の一手を選んでいた。それが今は、まず足元のボールを確認してから、という順番になっている。
きっかけは、キャンプでの一場面だった
そもそものきっかけは、少し前のキャンプだった。友達家族と一緒に行った先で、サッカーボールを使って浮き球のキャッチボールのようなことをしていたらしい。長男が受けて、トラップして、2タッチ目。多分、格好つけようとしたんだと思う。何か気の利いたトラップか、ワンタッチのプレーを狙ったんじゃないだろうか。そこで変な着き方をして、腕を痛めた。
骨折ではなかったので、思っていたより早くボールを蹴れるようになった。医学的には、もう何の問題もないはずだ。それでも、昨夜の公園で見ていて、プレーの質は明らかに落ちていると感じた。多分、体のどこかに「また痛めたらどうしよう」という感覚が残っていて、それが顔を下げさせているんだと思う。目に見えないところに、まだ治っていない部分があるんだろうなと感じた。
長男はサッカーノートをつけていて、練習のたびに自己採点欄がある。以前は「100点」と書いていたのが、最近は「20点」になっていた。誰かに聞かれて答えた数字ではなく、自分で欄に書き込んだ数字だった。本人の中では、もうそれくらいの手応えしかないということなんだと思う。数字にすると、その落差がなんとも言えない気持ちにさせる。本人がいちばんわかっている、というのが、見ていて余計につらい。
次男は次男で、合理的に立ち回っている
一方で次男を見ていると、まったく違うタイプの選手なんだなと、あらためて思う。
次男は、ゴールという結果から逆算して動いている感じがする。無理に格好つけたドリブルを仕掛けるより、自分の今の能力でいちばん確実に点に近づける選択を、わりと迷いなく選ぶ。派手さはないけれど、変に力まず、自分の武器をそのまま使う。結果として、思ったより点に絡む場面が多い。
長男が技術や表現の幅を積み上げていくタイプだとすると、次男は今持っているものをどう使うかで勝負するタイプなんだと思う。同じ兄弟でも、伸びていく方向がこんなに違うのかと、並べて見るたびに感じる。
考えてみれば、長男が腕を痛めたのも、2タッチ目で格好をつけようとした結果だった。挑戦する気持ちの裏返しでもあるんだと思う。次男のように「今できることを堅実に」というタイプとは、そもそもの動き方の哲学が違うのかもしれない。
積み上げ型と、センス型
コーチとして子どもたちを見ていると、だいたいこの二つのタイプに分かれる気がしている。
一つは、練習の積み重ねがそのまま形になっていくタイプ。失敗を重ねながら少しずつ技術を増やしていく代わりに、メンタルの波の影響も受けやすい。長男は多分こちら側だと思う。
もう一つは、今ある能力を状況に合わせて合理的に使うタイプ。派手な伸びしろは見えにくいけれど、崩れにくいし、結果に直結しやすい。次男はこちら側に近い。
どちらが良い悪いという話ではなくて、多分、コーチングの当て方を変えないといけないんだと思う。積み上げ型の子には、崩れたときにどう立て直すかを一緒に探す関わり方が要る気がするし、センス型の子には、今の合理性の外側にある選択肢を、あえて見せていく関わり方が要る気がする。頭ではそう整理できても、実際の練習の中でうまく使い分けられているかというと、正直まだ自信がない。
それでも、気になるのは長男
コーチとしては、両方の子を同じ熱量で見ていたいと思っている。でも父親としての本音を言うと、どうしても長男のほうが気になってしまう。
20点という自己採点は、いつか本人の中で上書きされていくものだと思う。ただ、それがいつになるのかは、正直まだわからない。顔を上げてプレーする長男に、また会えるのはいつだろうか。焦らせるつもりはないけれど、次の練習も、ついその顔を確認してしまう気がしている。



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